『王子 狐の行列』。
大晦日の晩、装束稲荷神社から王子稲荷神社を狐に扮した行列が練り歩く大祭です。
大晦日から元旦にかけての年越しに、その祭りを体感しに現地へ行ってきました。
その雰囲気はまるで、夏目友人帳の世界。
幻想的で、美しい祭りでした。
『王子 狐の行列』とは
『王子 狐の行列』は地域住民により1993年より始められた祭りで、王子に古くから伝えられているある言い伝えが起源となっています。
その昔、大晦日には各地から集まった狐が大きな榎木の下で装束を整えて王子稲荷神社に詣でていたそうです。
その様子は、歌川広重の浮世絵『王子装束ゑの木大晦日之狐火』にも描かれています。
しかし、時代が進むにつれ自然が失われ、集結場所だった榎木が人間に伐採されてしまったことで、いつしか狐の行列は見られなくなってしまいました。
それを偲んだ人々が、狐に扮装して行列となり、王子稲荷神社へと初詣をするようになりました。
これが『王子 狐の行列』です。
榎木があったとされる装束稲荷神社から関東稲荷総司と崇められる王子稲荷神社の間を、狐に扮して行列になり練り歩きます。
神社の情報については、前もって訪れたときのことを下記に綴りましたのでそちらをご覧ください。
また、今回は周りませんでしたが、王子稲荷神社には『願掛けの石』や『狐の穴跡』などの名所もあります。
早い時間に向かって、合わせて巡ってみるのも良いかもしれません。
大晦日、祭り当日
『王子 狐の行列』は1月1日の0時より始まるとのことでしたので、22:30頃に現地に向かいました。
王子稲荷神社・装束稲荷神社の最寄駅はJR王子駅か東京メトロ南北線王子駅、または都電荒川線王子駅前駅となります。
先に王子稲荷神社をお参りし、その後に行列の出発地点である装束稲荷神社に向かうことにします。
昼に訪れたときとは雰囲気が違う王子稲荷神社。
階段を上ると、社殿前は初詣仕様となっています。
手を洗い、手を合わせます。
このときはまだそこまで人はいませんでしたが、年明けからは長い行列ができていました。
お参りするのであれば早めに訪れたほうが良さそうですね。
さて、早めに装束稲荷神社前に向かうことにしましょう。
狐の行列の出発
装束稲荷神社前はすごい人でした。
この日、参列者の方や地元の方から「今年は人が多い」という声が何度か聞こえてきました。
知名度が上がり、年々見物に訪れる人が増えているようですね。
狐の面をつけた海外の方も。
このイベントは日本らしい光景を見ることができるので、海外の方にとっても楽しいのでしょうね。
幻想的な雰囲気を演出している狐火に見立てられた提灯。
狐の行列の際に見られる狐火の多少によって、翌年の作物の豊凶を占ったと言い伝えでは語り伝えられているそうです。
年越しの時間が近づくと、祭りの運営の方がクラッカーを渡してくれます。
いよいよ年越しの時間となると、カウントダウンが始まります。
こちらは動画でどうぞ。
鳴り響くクラッカーの音とカウントダウンの合唱。
なかなか賑やかな「王子 狐の行列」の始まり。
これを合図に、行列が進みだします。
幻想的な狐の行列
行列が進み始めたあとは、行列の行く先に移動しながら見物します。
行列の最初には獅子舞がいました。
噛み付く獅子舞とライトセーバーを振り回す交通整備の方。
狐の行列が大通りを練り歩いていきます。
現代のアスファルトの道路を歩く、着物を着て狐の面をつけた人々。
夢の中にいるような、不思議な気分になります。
大通りを行列が過ぎたあとは、王子稲荷神社前に移動して待ち構えます。
通り脇にはきつね様グッズが購入できたり、温かいきつね汁がいただけたりするスペースも。
焚き火が温かく、綺麗でした。
王子稲荷神社に入る狐の行列
王子稲荷神社へと先回りして移動し、神社の前で行列が来るのをのんびりと待つことにします。
ぼーっと待っている中、日本在住だというイギリス人の方と話す機会がありました。
話していると思いの外話が弾み、その方のご友人が持ってきていた日本酒をいただきながら楽しく行列を待ちます。
この日本酒が、とても美味。
水筒に熱燗をいれている斬新さと、「日本チュ」と言っているのがかわいくて和みます。
実は前回王子稲荷神社に訪れた際にお酒をお供えしたのですが、そのお酒が返ってきたのかもしれないね、と妻が言っておりました。
素敵な巡り会い。
楽しく待っていると、お囃子の音が近づいてくるのが聞こえてきます。
いよいよ、行列がやってきたようです。
目の前を練り歩いていく狐の行列。
ふと頭に浮かんだのがアニメ「夏目友人帳」。
お面をつけた妖怪が練り歩くシーンが頭に浮かび、まるで夏目友人帳の世界にいるような心地に。
感じるのは、ふわふわとした不思議な感覚。
どこか現実のものとは違う雰囲気を感じて、夢の中にでもいるような気分。あ、先ほどの熱燗が効いてきたのかしら。
王子稲荷神社の前の道は狭いので、行列が目の前を通り過ぎていく形になります。
狐に扮した人々とお囃子の音。
東京でこんな祭りが毎年おこなわれているとは知りませんでした。
王子稲荷神社へと入っていく行列。
境内へ行列が全て入った後、僕らも続いて境内へと行ってみることにしました。
神楽殿でのきつね囃子と獅子舞
行列が拝殿を参拝した後、神楽殿で催し物があります。
きつね様に挨拶をして、神楽殿前に向かいます。
狐の大きな面が飾られた神楽殿で、きつね囃子や獅子舞がおこなわれます。
獅子舞は動きが素晴らしく、年の初めに見ることができて良かったと思えるものでした。
三本締めで祭りは締めくくられます。
こちらも動画で雰囲気を感じていただけたらと思います。
まとめ
期待していた『王子 狐の行列』でしたが、想像通り素晴らしい祭りでした。
幻想的な風景に楽しい催し物、さらに素敵な出会いもあり、大満足の年越しとなりました。また訪れたい、そう思える祭りでしたよ。
大晦日を賑やかに過ごしたい方におすすめの祭り。
東京で催される『王子 狐の行列』、是非訪れてみてください。
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