タコつぼ漁体験!広島三原の伝統蛸壺漁を間近で見る興奮

旅行記

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広島三原旅。
2日目は、今回の旅の一番の目的である三原観光協会主催のモニターツアーに参加します。

ツアーの始まりは、タコつぼ漁体験
広島県三原市の名物といえば”タコ”。そのタコは、江戸時代より代々世襲制で引き継がれた伝統的な漁「タコつぼ漁」で現在も捕られているのでした。

釣りでタコを釣ったことはありますが、タコ漁を間近で見るのは人生で初めて。
しかも、現在では他の地域ではあまりおこなわれていない漁法「タコつぼ漁」を間近で見るという貴重な体験となりました。

揚がってくるタコはどのタコも大きなサイズのものばかり。
瀬戸内海の三原沖は流れが速く、そこに生息するタコは身が締まり脚が太いのだそうです。

そのタコの思ったより速い動きや、船を操縦する漁師さんの巧みな舵さばきやしっかりと揺れる船と飛んでくる飛沫……。
見るものがことごとく新鮮な上、全身を使って体感したので強い印象として残っています。

今回は、そのタコつぼ漁体験での模様を、漁の雰囲気が伝わるよう写真を多く使って綴っていきます。

三原観光協会主催のモニターツアーに参加!

三原旅1日目は、気の向くままに離島「佐木島」へ行ったり、三原駅周辺の神社仏閣を巡ったりしました。

夜には、地元の食材を使った料理が食べられる「下町の居酒屋 六文銭」で三原産の生たこにみはら神明鶏たたき、さらには地酒の醉心(すいしん)をいただいて1日目を締めくくり。
僕なりにですが、三原を楽しめた1日となったと思っています。

明けて2日目は、三原観光協会主催のモニターツアーに参加することとなっておりました。
ツアー参加が今回の旅の一番の目的。

このツアーでは、三原市内の様々な飲食店で提供される多彩なタコ料理が満喫できる他、伝統的なタコつぼ漁を体験できるなど、三原の名物であるタコを存分に堪能できる内容となっていました。

三原市漁業協同組合を出発しタコつぼ漁場へ

朝8時。
三原駅前に集合すると、そこからは車に乗せてもらい三原市漁業協同組合へ。

タコつぼ漁へは、漁業協同組合の建物の目の前にある港から出発します。
タコつぼを揚げる際や波しぶきなどで濡れるとのことで、カッパを着て長靴を履いておきます。加えて、ライフジャケットですね。

三原駅出発からわずか10分後にはもう船に乗る準備。
今回は組合長自ら舵をとる船に同船させていただくことになりました。

朝が早いなぁと最初は思ったのですが、聞くと実際の漁では夜中に出て朝帰ってくるそうです。
「今回のツアーのためにこの時間にしたんだよ」と組合長。

船は想像していたよりも小さめ。
釣りはよくするのですが、船釣りはしたことがなかったので、このサイズの船に乗るのは初めてでした。のっけから初めての体験でワクワクします。

船には漁師2名、観光協会の方1名、僕を含めたモニター3名の計6名が乗り込みました。

いざ、出航!
船が動き始めると、船の縁に腰掛けるように言われます。これがまた新鮮でした。

縁に座ったら落ちてしまうのではないかと一瞬思ったのですが、意外と身体が安定するんですね。
視点が低くなるので、海の上を滑っているかのようです。漁の前から新鮮な体験ばかりで面白い!

水路の両側には蛸壺が置かれています。蛸壺が並んでいるところなんてほとんど見る機会がないですよね。
この地にはタコつぼ漁が根付いていることがよくわかる風景です。

漁場は三原湾(瀬戸内海)。
小さな船なので波に大きく揺られます。この日は暑い日だったため風が涼しくて気持ち良かったのですが、寒い時期には特に厳しい漁であろうことが想像できました。

漁場に着いたら、蛸壺仕掛けの端につけられたブイのところへ。

実は、三原のタコつぼ漁では本来、仕掛けにブイは付けません。漁場は代々世襲制で引き継がれており、仕掛けの両端と中央の位置は、島や山の位置から割り出すんだそうですよ。

今回の仕掛けはブイをつける方法をとったものでした。
前述の理由から三原湾にはほとんどブイが見られないのですが、傍目から見ると気付かないだけで、海底にはたくさんの蛸壺が仕掛けられているんですね。この辺りでは底引き網漁は禁止されているそうですよ。

タコつぼ漁の様子|仕掛け回収側

蛸壺の付いたロープを引き上げたら、タコつぼ漁スタート。
タコつぼ漁では、小型の船に漁師が2人1組で乗ります。1人が舵取り、1人が仕掛けの回収という役割ですよ。

まずは、仕掛け回収側から見ていきます。

自動回転するローラーを使って、仕掛けがついたロープを巻き上げていきます。

蛸壺の間隔は約10メートル。
今回蛸壺が仕掛けられていた場所の水深は8メートルほどとのこと。暑い時期は浅く、寒い時期は深くすることでタコが捕れやすくなるのだそうです。

次々と船の上に揚げられていく蛸壺。
一つの仕掛けについている蛸壺は80〜100個。ロープの長さは全長約1,000メートルにもなるそうです。

蛸壺は全て船上に揚げられた後、すぐに海底へと仕掛けられます。
そのため、船の上に揚げられた蛸壺は綺麗に積み重ねられていきます。

素焼きで出来ているイメージがあったのですが、蛸壺は全てプラスチック製。1個の重さは1kgほど。
下に重りが入っており、正しい方向で仕掛けられるようになっています。これまで改良に改良を重ねて、この形になったのだそうです。

タコ以外には、蛸壺にはこんな侵入者も。
ヒトデやナマコ・カニなどが蛸壺にくっついて船の上に揚がってきましたよ。

ちゃんとタコも入っていました!蛸壺に入っているタコを見るのは初めてです。
この日は約1割くらいの確率でタコが入っておりました。多いときには7・8割捕れるそうですよ。

捕れるタコの量は気候に左右されるようで、大雨で山から水が来たときは調子がいいと組合長が話してくれました。

蛸壺の中に餌が入っているわけではないのですが、壺は海中でタコの格好の隠れ場となるので、自らすすんでタコが壺の中へ入るのだそう。
タコの習性をうまく利用した漁法ですよね。

タコが入っている壺は、船の後部の舵取り側の漁師に渡され、壺から出されます。
では、今度は舵取り側から漁を見てみることにします。

※タコつぼ漁の様子は動画にしています。合わせてご覧ください!

タコつぼ漁の様子|舵取り側

舵取り側に移動しました。
こちらでは、組合長が巧みな舵さばきで船を操ります。

蛸壺を引き揚げている時や蛸壺を仕掛けている時、船の位置も少しずつ調整されています。仕掛け回収側と舵取り側の呼吸が合わないと成り立たない漁ですね。

さて、こちらのタコつぼ、中にはタコが入っています。
引き揚げた蛸壺にタコが入っていた場合、仕掛け回収側から舵取り側に壺が渡されます。

そのままにしていてもタコ自ら出てくることがありますが、タコをすぐに壺から追い出す方法があります。
その方法は、壺を棒で叩くこと。

蛸壺を棒で叩いてしばらくすると、足で壺の外を探りながらタコがニョロニョロっと出てきます。
タコは音に敏感だそうで、驚いて出てくるんだそうですよ。

他にも、蛸壺の後ろに空いている穴から濃度の濃い塩水を注ぐことでもタコが驚いて出てきます。
この日目の前で見て初めて知りました。面白いですよね。

一度蛸壺から出ると、思いのほか早いスピードで逃げまわるタコ。
タコはもっとゆっくりとした動きをするのかと思っていたのでこれは意外!

蛸壺に入っていただけなので、元気一杯のタコ。ネットに入れられないように、力一杯抵抗します。

ネットに入れる時は、タコの頭を持って足から投げ込むように入れます。
この動作がなんとも豪快で、見ているほうからすると爽快な気分になるくらいです。

瀬戸内海の三原沖は流れが速いため、そこに生息しているタコは海流に耐えながら岩に張り付いているそうです。
そのため、海流で鍛えられたタコは太い足をしていて身が締まっているのが特徴。揚がってくるタコはどのタコも大きなサイズのものばかりです。

底引き漁や釣りなどと違い、タコつぼ漁ではタコの身に傷がつかないため、綺麗な状態でタコを水揚げできるのもメリット。

壺から出されたタコは一杯ずつネットに入れられ、船についているいけすの中で生きたまま保管されます。

蛸壺からタコが出てくる様子は、何度見ても面白いもの。
タコの動きをこれほど近くで見ることもないので、なんとも楽しい体験です。

ちなみに、タコの扱いに慣れていない人がタコを捕まえようとすると、タコに抵抗されてなかなか持ち上げられません。
タコの吸盤の力は相当に強く、しかもさすがの軟体動物とあって手に絡みついてくるのです。

組合長曰く、タコが吸盤をくっつけて抵抗した時は、剥がそうとするのではなく、蛸の進行方向に引っ張ると捕まえやすいんだそう。
タコを捕まえる時の豆知識ですね。

タコつぼを海中に仕掛け直して帰港

仕掛けの取り込みが終わると、小さな船の中は積み上げられた蛸壺でいっぱい。
蛸壺を全て揚げた後は、休む間もなく壺を海中へと仕掛けていきます。

2つの仕掛けを引き揚げ、さらにその仕掛けを海中に設置直してこの日のタコつぼ漁はおしまい。
三原市漁業協同組合前の港へと戻ります。

漁の一部始終を間近で見れたタコつぼ漁体験。
江戸時代から続く伝統と長年の経験に裏打ちされた漁。代々世襲制で引き継がれていることにより、タコを捕りすぎずにタコと共存する漁が実現されているんですね。

港に着いた後は、漁師さんが船内を掃除。
蛸壺から砂や泥が出てくるため、船内が結構汚れるんです。

捕れたタコは大きなバケツに入れて陸揚げ。
漁師さんは軽々持ち上げていましたが、タコ一匹一匹のサイズが大きいので、これがものすごく重いんです。僕には両手で持ってカニ歩きするのが精一杯。

こちらの三原市漁業協同組合では、漁の管理の他、水産物の加工・販売もされています。先ほど船から運ばれたばかりのタコが、次々と袋に入れられていきます。

僕は釣りでタコが釣れた時には、しめた後に真水で洗い、塩揉みをしてヌメリと取り除いていたのですが、こちらでは全く違う手順でした。すごく勉強になったのですよ。

まず、取ってきたタコはしめて塩水で洗います。真水に触れると、身が水ぶくれしてしまうそう。
さらに、塩揉みはせずそのまま冷凍するとのこと。塩揉みすると身が硬くなるのだそうです。

袋に入れられたタコは真空パックにされ、さらに急速冷凍されます。
冷凍することで、ぬめりが楽に取れるとのこと。旨みはそのまま保たれ、身質は柔らかく食べやすくなったりと、利点が多いそうですよ。

三原市漁業協同組合では、このタコを「三原やっさタコ」と名付けてブランド化し、販売しています。
真空パックにしてから急速冷凍するので、出荷先でも捕れたてのように食べられそうですね。

まとめ

広島三原にて、代々世襲制で引き継がれている伝統的な漁「タコつぼ漁」。
体験だけではなく知識面も含め、個人的には十二分に楽しめたイベント。なかなか見ることのできない漁に同行し、一部始終を目の当たりにできる貴重な体験となりました。

タコつぼ漁の後、「三原やっさタコ」を三原市漁業協同組合でいただくことに。
タコ刺し・タコ天・タコ飯をいただいたのですが、これがどれも絶品!食事の模様については、次回の記事にて綴ります。

※タコつぼ漁の様子は動画にしています。合わせてご覧ください!

2018年7月20日
テレビ東京「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」に資料映像を提供しました。

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コメント

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