沖縄の観光スポットの定番といえば、首里城でしょう。
2000年に首里城跡が「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして世界遺産に登録されたことでよく知られています。
沖縄旅行中の妻と僕は、妻が沖縄の地を踏むのが初めてだったこともあり、首里城にも訪れてみることにしました。僕も前回首里城に訪れたのは高校生の頃。実に15年ぶりになります。
首里城御殿内の展示も興味深いものでしたが、今回僕らがもっとも心地よく感じたのは、御殿などの建物の外、首里城公園を散歩したことでした。
ユネスコ世界遺産に登録された首里城を巡る
垣花樋川(かきのはなひーじゃー)を訪れたあとのこと。
レンタカーを走らせて僕らは首里城に向かうことにしました。
車で40分ほどで到着したのですが、首里城公園の駐車場が満車とのことで臨時駐車場に停めることに。
車を停めたあと、料金を支払おうと出入口近くの事務所らしき建物を覗くも、係りの方が見当たりません。
キョロキョロしていると、事務所の前に「係り不在の場合、駐車代金をいれてください」といった旨が書かれたポストがありました。駐車代金500円と車のナンバーを書いた用紙をいれてポストにいれ、出発です。
臨時駐車場からは歩いて3分ほどで首里城公園の入り口に着きました。
首里城公園内には無料区域と有料区域があり、有料区域には首里城の中心的なエリアである正殿などがあります。それ以外にも、ショップやレストラン、王朝時代から受け継がれた歴史的建造物や史跡が散在していたりします。
それでは、公園の入り口から首里城の正殿に向かっていきたいと思います。
ショップなどもなかなか味のある佇まいをしています。
公園内の地図がレトロなデザインでいい感じです。上部中央に描かれている、高台にある木に囲まれたところが正殿がある場所ですね。
守礼門(しゅれいもん)
最初に現れるのは守礼門。守礼門とは俗称で、本来は「上の綾門(ウィーヌアイジョウ)」というそうです。
二重の屋根が4本の柱で支えられているのが特徴で、赤い本瓦が使われています。
この門、2000円札の表面に描かれていることでよく知られています。沖縄戦で焼失しましたが、1958年に再建され、1972年に沖縄県指定有形文化財となりました。
この門を通って、首里城へ向かいます。
園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)
守礼門をくぐると、左手に園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)が見えてきます。
この門は国王が外出するときに安全祈願をした礼拝所でした。門の形ではあるのですが、人が通るように作られてはいません。
国指定重要文化財にもなっている琉球石灰岩で作られた石造建造物です。
歓会門(かんかいもん)
首里城の城郭内へ入る第一の正門、歓会門(かんかいもん)。首里城は外郭と内郭で二重に囲まれているのですが、この門は外郭の最初の門となっています。
創建は1477~1500年頃とされていますが、沖縄戦で焼失。1974年に復元されました。
この門をくぐると、いよいよ首里城。乗り込んで参りましょう。
瑞泉門(ずいせんもん)
首里城第二の門、瑞泉門。創建は1470年頃で沖縄戦で焼失したそうですが、1992年に復元されました。
この門で首里城内郭。周りを眺めると段々と景色が良くなってきます。
漏刻門(ろうこくもん)
瑞泉門をくぐって進んでいくと、漏刻門が見えてきます。第三の門ですね。
漏刻(ろうこく)は中国語で水時計という意味。門の上の櫓に水槽を設置し、そこから漏れ出る水の量で時間を計っていたのがその由来です。
石畳の階段が続く首里城ですが、この門で階段を上るのもほぼ終わりとなります。
ここまでくるとだいぶ高台になり、那覇市内が一望できるようになります。
奉神門(ほうしんもん)
高台まで上りきると、有料区域へ入るためのチケットが売っています。大人820円。
チケットを購入したら、奉神門(ほうしんもん)へ向かいます。奉神門は首里城正殿のある御庭(うなー)へ通じる最後の門。3つの門のうち中央が身分の高い人用、それ以外の役人は両側の門から入ったそうです。
いよいよ、入城です。
首里城正殿のある御庭(うなー)へ
正殿のある御庭(うなー)は首里城の中心部であり、首里城見学のメインともなっています。
年間を通じて様々な儀式が行われた御庭。足元のタイル状に敷かれている色違いの列が特徴的ですが、これは儀式の際に諸官が位の順に立ち並ぶための目印の役割があったとのこと。
また、中央の道は浮道(うきみち)と呼ばれ、国王や中国皇帝の使者などの限られた人だけが通ることを許されていたそうです。
正面にあるのが正殿です。
正殿は琉球王国最大の木造建造物。二層三階建てになっていること、装飾化した龍柱などは琉球独自の形式といわれています。
向かって右が南殿・番所(なんでん・ばんどころ)。
左側が北殿(ほくでん)です。
南殿・番所から入り、御殿内を巡ります。漆器、絵画等の美術工芸品などが中心に展示されているところから始まります。
国王が執務の合間に休息したといわれる部屋や庭園なども見ることができます。
正殿内にある、御差床(うさすか)と呼ばれる国王が座る玉座。
国王の王冠も展示されています。
これ以外にも、王府の美術工芸品がいくつか展示されています。
御庭(うなー)をでて外を散歩
有料区域を見学したあとは御庭をでて、城内を歩いてみます。
こちらは京の内という、城内最大の信仰儀式の場。
首里城発祥の地ともいわれており、聞得大君(きこえおおきみ)や大アムシラレといった神女たちが王家繁栄や五穀豊穣などを祈っていたそうです。
城内には高台から街を見渡せる展望の良い場所が多くあります。吹く風がやわらかくて気持ちがいい。
建物や壁が自然に近い感じがして雰囲気が良いですね。
こちらにもガジュマルが多く生えていました。豊富な自然が作り出す清々しい空気を味わいながら歩きます。
弁財天堂と円鑑池
首里城の高台から下り、首里城公園内を少し歩いてみることにしました。
こちらは円鑑池(えんかんち)という1502年に造られた人工池。沖縄戦で破壊されましたが1968年に修復されました。首里城や円覚寺からの湧水や雨水が集まる仕組みになっているそうです。
池の中央にある堂は弁財天堂です。
池の周りには大きな鳥がいっぱい。人に慣れているのか、近づいても逃げることはありません。
きっとこの方がこのグループの長老。目力がハンパなかったです。ついお辞儀しました。
池中央へと架かる小橋を渡って弁財天堂へ。小橋には天女橋という美しい名前がついています。
この弁財天堂は当初1502年に朝鮮から贈られた方冊蔵経を納めるために建立されました。その後、1609年の薩摩侵入で破壊され1629年に修復されました。この際に円覚寺にあった弁財天像安置がされましたが、荒廃してしまったため1685年に薩摩から新像が移されました。しかしそれもその後の沖縄戦で破壊されてしまいます。
現在の弁財天堂は1968年に復元されたものです。
その後も公園内を少し散歩し、公園をでることにしました。
帰りは首里金城町石畳道を歩いて駐車場へ向かいます。沖縄では石畳の道が多いので、雨が降ると足元が滑りやすくなります。滑りにくい靴がベター。
木々と石畳の組み合わせは沖縄を強く感じる光景ですね。
まとめ
15年ぶりに訪れた首里城は感慨深いものでした。以前訪れたときもそうなのですが、御殿のなかのことよりも外の景色のほうが印象に残ることとなりました。
有料区域に入らずとも首里城公園を散歩するだけでも楽しめる場所です。
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